これはなに
Ubuntu上のTeXLiveで、Lua$\LaTeX$にフォントを追加する方法について説明する。
環境
- TeX Live 2023
- Ubuntu 20.04 LTS
事前準備 | フォントをダウンロードする
まずは、使用したいフォントをダウンロードする。 Lua$\LaTeX$がサポートしているフォント形式は次のとおりである。これらのいずれかの形式のフォントをダウンロードする。
名称 | 拡張子 |
---|---|
TrueType | .ttf |
OpenType | .otf |
Type 1 | pfb, .pfm |
フォントをインストールする
$\LaTeX$を含むすべてのアプリケーションでフォントを使いたい場合は、システムにフォントをインストールする。$\LaTeX$のみでのフォント利用で問題ない場合は、システムにフォントをインストールしない方法を取る。
システムにフォントをインストールする場合
Ubuntuでシステムにフォントをインストールするには、次のいずれかの場所にフォントファイルをコピーする。
パス | 用途 |
---|---|
/usr/share/fonts | システムフォント |
/usr/local/share/fonts | 共有フォント |
~/.fonts | 個人フォント |
フォントファイルを配置したら、以下のコマンドを実行してフォントキャッシュを更新する。
sudo fc-cache -f -v
これで、フォントがシステムにインストールされ、フォントに対応したすべてのアプリケーションで利用可能になる。
システムにインストールせず、TeX Liveのみで利用する場合
システムにフォントをインストールせず、TeX Liveだけでそのフォントが利用できればいい場合は、追加したいフォントを$TEXMFLOCAL/fonts/
ディレクトリ下に入れる。
$TEXMFLOCAL
ディレクトリはkpsewhich
コマンドで調べられる。
$ kpsewhich -var-value=TEXMFLOCAL
/usr/local/texlive/texmf-local
$TEXMFLOCAL/fonts/
ディレクトリ下にフォントを配置したら、mktexlsr
コマンドを実行して、ls-R1を更新する。これにより$\LaTeX$がフォントを認識できるようになる。
$ mktexlsr
mktexlsr: Updating /usr/local/texlive/2023/texmf-config/ls-R...
mktexlsr: Updating /usr/local/texlive/2023/texmf-dist/ls-R...
mktexlsr: Updating /usr/local/texlive/2023/texmf-var/ls-R...
mktexlsr: Updating /usr/local/texlive/texmf-local/ls-R...
mktexlsr: Done.
$\LaTeX$がフォントを認識しているか確認する。
$ kpsewhich RictyDiminished-Regular.ttf
/usr/local/texlive/texmf-local/fonts/truetype/public/RictyDiminished-Regular.ttf
Lua$\LaTeX$にフォントを認識させる
次に、以下のコマンドを実行して、Lua$\LaTeX$のフォントキャッシュを更新する。
luaotfload-tool --update
フォントが認識されているか確認する。
$ luaotfload-tool --fuzzy --find="RictyDiminished"
luaotfload | resolve : Font "RictyDiminished" found!
luaotfload | resolve : Resolved file name "/usr/share/fonts/ttf/RictyDiminished-Regular.ttf"
フォントをテストする
フォントが正しくインストールされているかを確認するために、新しいLua$\LaTeX$ドキュメントを作成し、以下のコードを追加する。
\documentclass{article}
\usepackage{fontspec}
\setmainfont{RictyDiminished-Regular}
\begin{document}
This is a test document.
これはテスト文章だよ。
\end{document}
\setmainfont
の{}
内に、テストしたいフォントの名前を入力する。その後、ドキュメントを保存し、Lua$\LaTeX$でコンパイルする。
lualatex test_doc.tex
エラーがなく、テキストが新しいフォントで表示されれば、フォントが正しくインストールされている。
まとめ
本記事では、Lua$\LaTeX$でフォントを追加する方法について説明した。ぜひ、好みのフォントをLua$\LaTeX$で使用してほしい。
参考文献・URL
ls-Rとは、$\LaTeX$がファイルを読み込む際に利用するファイルの一覧表である。TeX Liveでは、このls-Rを利用してファイルを管理している。そのため、新しいパッケージなどをインストールした際にls-Rを更新しないと利用できない。 ↩︎